2015年4月23日

市町村の姿を伝えるサイト「街シル」

「街シル」とは


「街シル」は自分たちが住む地域の実情を表やグラフでわかりやすく伝えることで、今何が問題で、何を優先して取り組むべきか住民自らが考えるきっかけを提供することを目的にオープンした無料の情報提供サイトです。


サイトURL:http://www.v-labo.jp/machi/index.php


ミエルカ・ラボにて蓄積された膨大な地方自治体情報の一部を用い、市町村毎に下記の情報を提供しています。


①市町村の位置、面積、可住地面積比率

選択した市町村の位置や面積、可住地面積比率を知ることで、地理的な特性を見ることができます。


②「人口」および「人口増減率」

全国的に減少している人口ですが、自分の住む街や故郷の街の人口はどうなっているのかを過去20年間の推移を見ることで知ることができます。


③「行財政の健全度」

下記の項目について人口規模と産業構造で分類された地方自治体のデータを降順に並べ、10点満点で採点することで類似自治体の中での相対的な健全度を知ることができます。

・「財政的な自立度」を見る地方交付税額*1

・「経費利用効率」を見る間接費比率*2

・「稼ぐ力」を見る財政力指数*3

・「負債の大きさ」を見る将来負担比率*4

・「財源の柔軟性」を見る経常収支比率*5

・「貯金の適正性」を見る財政調整基金比率*6

・「人員配置の適正性」を見る人口1000人当たりの職員数*7


④「生活環境」

生活に大きく関わる下記の項目について上記同様に採点を行いました。

・「住民の経済力」を見る一人当たり課税対象所得*8

・「働き機会」を見る失業率*9

・「治安」を見る人口1000人当たり犯罪発生率*10

・「医療環境」を見る人口10万人当たり一般病院数*11

・「健康」を見る一人当たり医療費*12

・「衛生面での取り組み」を見る水洗化人口比率*13およびゴミ計画収集人口比率*14


⑤「教育・福祉」

生活に大きく関わることですが数の多少で優劣が決められない分野である「教育」および「福祉」については下記の項目毎に類似自治体平均との比較を行うことで自分の住む地域の状況を見ることができます。

また、項目をクリックすることでそれぞれのデータの過去からの推移を見ることができます。

「教育」

・幼稚園数

・小学校数

・中学校数

・高等学校数


「福祉」

・保育所数、保育所在所者数、待機児童数

・介護老人福祉施設数*15

・身体障害者更生援護施設数*16


⑥「産業構造」

業種毎の事務所数と従業員数を見ることでその地域の主要産業と雇用力を見ることができます。

また、雇用力が非常に強い製造業における業種毎の事務所数と従業員数を見ることができます。(市のみ)


地方自治について


「地方自治」とは地方を自ら治めると書きますが、本来はその字のごとく、そこに住む住民自らが治める、つまり、自分たちの力でより住みよい環境に変えていくことを意味します。 また、地方自治法の中にも地方自治体の定義として下記のように書かれています。

「一定のエリアに住んでいる人たちの意志に基づき地域作りを担う法人」


つまり、地方自治体とは、住民一人一人の意思に基づき地域環境の整備を行い法人ですので、住民の意思なしでは方向性を失うものでもあるのです。


しかし、日頃の生活の中でそのことを意識している人がどれくらいおられるでしょうか。


現在の議会制民主主義を前提とした行政は、集められた税金をより住み良い街作りに繋げて行くために投票を行い、選ばれた議員と 首長により構成される議会において首長が議案を挙げ、議員の皆さんにより実施の是非が承認されます。 そして、実施するのであればどのような方法で実施するべきか話し合われ、官公庁・市役所などの執行機関で実施すると決まった事に対して具体的なアクションが取られていきます。


しかし、有権者の立場で見れば選挙の公約で唱われた事がどの程度実現されたか、また、費用対効果の観点からその実現方法、投じた予算が適切だったか誰も検証していないのが実情ではないでしょうか。


また、行政担当者の立場で見れば、選挙のたびに首長が変わり、その度に方針が変更されて行く中で本当に市民のためになることを継続的に実施して行くことは難しいだけではなく、市民が本当に求めているものが何なのかを知る術もなく日々の業務に追われているのではないでしょうか。

また、高度成長期時代のように経済的な成長・地域インフラの整備など分かりやすい目標のもとに行政執行を行えば良い時代と異なり現在は個々人のニーズが多様化しているため地方自治体の目指す方向を定めることも難しい状況です。


「街シル」の提供を通しての願い


「街シル」が目指す未来は、皆さん一人一人が自ら考え、より良い地域づくりに向けて行動する自浄機能を持った地域コミュニティーの実現です。


今は選挙の時以外はほとんど繋がりのない「住民の生活」と「地方自治体の活動」ですが、自分たちの住む街のことを正しく知ると同時に現在の行政をフェアに評価することにより、とかく総花的になりがちな自治体総合計画や首長のマニフェストに明確な方向性を与える力となり、そのことが住民が真に求める住民満足度が高い地方自治につながっていくと考えています。また、地方自治体同士を比較することで競争原理が働き、地方自治の世界に自浄作用が作用するようになると考えています。

本サイトが皆さんに活用され、皆さん一人一人およびこれからの世代の子供達が豊かな生活を送れるような社会づくりの一助になれば幸いです。


2015年4月23日 株式会社 社会価値'見える化'研究所

代表取締役 石橋 宏太



※情報引用について

引用いただく場合には、お手数ですが「ミエルカ・ラボ」からの引用であることがわかる形でお願いいたします。



*1地方交付税:国税五税(所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税)の一定割合を地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう交付される財源です。
*2間接費比率:地方公共団体の歳出における「議会費」「総務費」のことを指し、全歳出における比率を間接費比率と呼んでいます。
*3財政力指数:地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額(主に税収)を基準財政需要額(行政サービスの提供に必要な費用)で割った数値の過去3年間の平均値です。
*4将来負担比率:当該地方公共団体の一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する比率のことで、簡単にいえば現在の借金を返済するのに現在の年間収入の何%が必要かという指標です。
*5経常収支比率:地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)のうち、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当されたものが占める割合で財政の柔軟性を示す指標です。
*6財政調整基金比率:地方公共団体の使途自由の貯金を表す財政調整基金を標準財政規模で割った指標です。
*7人口1000人当たりの職員数:地方公共団体の職員数を人口で割った指標です。
*8課税対象所得:2012年の課税対象所得を同年の納税者数で割った指標です。本指標は実際の所得ではなく、各種控除後の課税の対象となる所得金額です。
*9失業率:2010年の完全失業者数を労働力人口で単純に割った指標で労働力の需給状況を示します。
*10人口1000人当たり犯罪発生率:2009年の刑法犯罪認知件数を同年の人口で割った指標で該当地域の相対的な治安の良さを示します。
*11人口10万人当たり一般病院数:2011年の一般病院数(病床数が20以上で、通院および入院診療で一般的な治療が可能な患者を対象とする医療施設)を同年の人口で割った指標です。
*12一人当たり医療費:一人当たり医療費とは2012年の医療費を同年の人口で割った指標です。
*13水洗化人口比率:2010年の水洗化人口を同年の人口で割った指標で該当地域の下水道整備の状況を示し、同地域の「衛生」に関する行政サービスの提供状況を示す指標として用いています。
*14ゴミ計画収集人口比率:2010年のゴミ計画収集人口を同年の人口で割った指標で該当地域のゴミ計画回収の状況、いわゆる行政サービスの一つでありゴミの定期回収サービスを受けている割合を示し、衛生面での行政サービスの提供状況を見る指標の一つとして用いています。
*15介護老人福祉施設数:介護保険法に基づいて介護保険が適用される介護サービスであり、要介護認定を受けており心身の障害で在宅生活が困難な高齢者の日常生活を介護する施設です。
*16身体障害者更生援護施設数:身体障害者のうち特別な医学的治療,生活訓練,職業訓練を必要とする者や,居宅のままでは自立の困難な重度身体障害者を入所又は通所させて,必要な援護措置を行うことを目的としている施設です。